ご相続があり、個人の方が上場株式を取得した場合、その相続した株式を譲渡(売却)するということも少なくありません。
特定口座でない上場株式を相続し、譲渡して利益が出る場合、基本的には確定申告が必要になります。
確定申告においては分離課税として、給与などの所得とは別の所得として課税されます。
確定申告をする際、譲渡価額(売却代金)のほかに、取得費や譲渡費用の把握が必要になってくるのですが、その中でも取得費はどのように計算するのでしょうか。
購入時の資料が残っていれば、売却した場合の取得費を求めることは容易です。
しかし、相続があったときは、購入時の取得費が不明ということも多いです。
株式といっても上場株式や非上場の株式などありますが、今回は上場株式を相続して、その後に譲渡(売却)した場合の取得費についてお話させていただきます。
上場株式を譲渡(売却)した場合
まず、個人の方が上場株式を譲渡(売却)した場合は、譲渡所得になります。
その譲渡所得の金額は、譲渡価額(売却金額)から取得費(取得価額)と手数料等を差し引いて計算することになります。
この取得費(取得価額)には、株式の取得に支払った購入代金のほか、購入手数料、名義書換料など、その株式を取得するために要した費用も含まれます。
相続により取得した場合には、被相続人の取得費を引き継ぎます。
相続して株式を取得した場合や、その購入の時期が古く取得費がわからないことがあります。
その場合、同一銘柄の株式ごとに取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められます。
しかし、売却代金の5%相当額ということは、残りの95%が課税の対象となってしまいます。
正確な取得費を計上できるように、次に取得費の確認方法についてお伝えします。
取得費の確認方法
上場株式の取得費を確認する方法を4つご紹介します。
①取引報告書を確認する
証券会社などの金融商品取引業者等から送付される取引報告書で確認することができます。
②顧客勘定元帳を確認する
金融商品取引業者等の「顧客勘定元帳」で確認することができます。過去10年以内に購入したものであれば、確認できます。業者によっては、10年より以前の情報を保存している場合もあるようです。
③自身の通帳などの控えを確認する
日記帳、預金通帳などの控えによって取得価額がわかればその額によることができます。
④①~③で確認できない場合
名義書換日を調べて取得時期を把握し、その時期の相場をもとに取得価額を算定することができます。株主名簿や株式異動証明書などの資料を確認することで、取得時期を把握し、その時期の相場(終値)を基に取得費を算定することができます。
以上の方法を確認していただき、それでも不明な場合は、売却価額の5%で取得費を計算することになります。
国税庁HP No.1464 譲渡した株式等の取得費 参照
相続した株式を譲渡した場合の取得費加算
相続した株式を、相続してから一定期間内に売却した場合、一定の金額をその売却した株式の取得費に加算することができるという特例もあります。
国税庁HP No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 参照
相続税で納税したあと、相続した株式を売却した場合は、取得費の特例が適用できるか確認していただいた方がよろしいかなと思います。
まとめ
今回は、相続した上場株式を譲渡(売却)した場合の取得費について書かせていただきました。
相続した上場株式を売却した場合の確定申告をする際に、必ず取得費の計算が必要となってまりますので、売却予定がある場合は、取得費の確認の準備もあわせて進めておくことをおススメします。
【編集後記】
確定申告時期もあと1週間となりました。
移動もあるので、天気が良い日が続いてほしいです。